週末、若い人であふれる野毛。さらに安心・安全な街へ -野毛地区振興事業協同同組合新理事長、田井昌伸さんに聞く

2024年11月28日

左が野毛地区振興事業協同組合の新理事長 田井昌伸氏。 中央右が平出揚治前理事長。中央左が福田豊前専務理事。最左が小林直樹専務理事。

 

大道芸はファンのためにも継続、大岡川の水上交通も

 

–令和6年6月26日の総会で野毛地区振興事業協同同組合第三代理事長に就任されました。今の心をお聞かせください。

田井: 協同組合の母体となった野毛地区街づくり会ができる前から、街のために頑張っていた先輩たちのあとについていろいろやらされたのが私にとっての出発点でした。そこに東急東横線 横浜-桜木町間の廃線問題が起きて街が一体となり、街づくり会ができて大道芸が生まれた。今一番大事なのは、この40年間先輩たちが築いてくれたものを守り進化させていくことだと考えています。

 

–飲食業から初の理事長選出ですが、今、野毛の景気はどうですか。

田井:東橋線が土曜日に廃線になって、透明けの月曜日、お客さんの足がパッタリと途絶えた。店で一晩中テレビを観ていました。あの頃と比べれば、特に金土日曜日の人出には隔世の感があります。通りが人で埋まっている。行列のできる店も多い。客層も変わりました。若い人、観光客、インパウンド客が中心です。それに伴って店の賃料がはねあがった。10年前に比べて1.5倍、新規契約だと2倍から3倍、それでも不動産屋さんには空き待ちが十数作あると聞きます。不動産に関してはバブルといっていい状態です。

 

–昔から「野毛はオジさんの街」と言われてきました。缶に若い人が増えて、オジさんたちはどこへ行ったのでしょう。

田井:常連さんたちは週末を避けて平日にいらっしゃいます。昔からの野毛のよさ、野毛の大人の酒の文化、そういうものは変わっていません。ただコロナが尾をひいてお客さんの帰りが早い。平日のお客さんを底上げしたいと思いますが。ひと頃からみれば贅沢な悩みと言われるかもしれませんね。

 

–東横線廃線をきっかけに横浜市、東急と野毛との間で調印した野毛地区振興策がここにきて実を結んだといえますか。

田井:それは間違いありません。かつての野毛は街が暗い、女性が夜歩くのは怖いというイメージでした。そこで振興策にもとづいて設けられたトラスト資金や横浜市の助成も得てハード面、街灯の設置や歩道の整備から始めました。ソフト面では野毛大道芸やにざわい座のオープンなど、長い間のそうした蓄積が今の野手をつくったのだと思います。

 

–野毛大道芸は野毛になんとか人を呼び寄せたいという思いから始まりました。その役割は十分果たしたと思いますが、今後は?

田井:確かにこれだけお客さんが来てくださるようになったのだから大道芸を続ける意味はあるのか、という人もいます。少なくないお金がかかりますからね。しかし大道芸のお客さんは今や親子三代にわたります。野毛で大道芸を観てパフォーマーとなった人たちが今日本の大道芸のトップになって支えている。街づくりのための大道芸からは離れても、野毛に大道芸がある意味は大きい。新しい試みを加えながら続けていきます。

 

–街にお客さんが増える一方で新しい問題が起こっていると聞きますが

田井:最も大きい問題は強引な客引きの横行です。通りにズラッと並ぶ所もあり、観光客やネット情報などを見て来てくださるお客さんたちにしつこくつきまとってぼったくりの店や風俗店に誘い込む。「怖い」「なんとかして」という声がたくさん寄せられています。警森や行政とも協議していますが。早急に対策を立てたいと思います。

 

–野毛地区振策の現状と今後の展開はいかがですか。

田井:新市庁舎のある北仲地区と野毛との間の導線整備は最終の曲面で足踏みが続いていますが、その完成を急ぎたいと思います。新しい構想としては、大岡川の水上交通も考えていきたい、大関川は街の貴重な財産であり、桜桟橋、日ノ出桟橋、夢ロードと川の駅が整備されてきています。これを活かして川をイベントの場としてだけではなく、日常的な水上交通のルートに変えていければと考えています。

 

–同組合としての課題は?

田井:協同組合が街づくり会と連うのは、街づくりのための資金をつくっていかなければならないという点です。これまで財政的に街づくりを支えてきたトラスト資金もやがては尽きるという現実もあります。協同組合は収益事業としで駐車・駐輪場の経営や所有するビルなど不動産の賃貸を行っていますが、そこからの収益をどうあげていくか、専門家を交えてその運営方法や契約の見直しなどを検討し始めています。

 

 


 

野毛街づくり40年の歩み

【昭和】

59-12

野毛地区街づくりを考える会(現街づくり会)設立

61-04

第1回野毛大道芸ふぇすてぃばる(野毛大道芸)開催

62-06

東横線桜木町駅間廃線計画の新聞報道。

62-11

横浜市が8項目の野毛地区振興策を提示。

63-04

街づくり会と横浜市、東急が「みなとみらい21線及び地区振興に関する覚書」「同確認書」に調印

【平成】

02-11

公益信託横浜野毛地区まちづくリトラスト認可

07-02

みなとみらい線起工

11-04

野毛ちかみち開道

14-04

横浜にぎわい座開館

15-08

野毛地区振興事業協同組合設立総会

16-01

東横線橫浜一桜木町駅間廃線

16-02

みなとみらい線開業

16-11

桜木町駅前駐車場オープン

【令和】

21-04

野毛Hana*Hana(野毛地区合同利用施設)オープン

02~04

コロナで3年間、野毛大道芸の路上開催中止

05-04

野毛大道芸、4年ぶりに路上開催復活